何かを体験したら、それをアウトプットするための何かをしたくなるのが人間の自然な性質です。それは仕事のスキルや知識に限らず、たとえば旅をしたらそのことを誰かにシェアしたり、素晴らしい本を読んだら誰かに勧めたくなったり、何かを学んだらそれを実践できる場を探したりなどといったようなことも含まれます。また、びっくりするニュースや噂話が入ってきたら誰かとおしゃべりしたくなる、というのもアウトプットかもしれません。
中には、直接的なアウトプットをしないタイプの人もいるかもしれません。たとえば、旅で得た感性を趣味に反映させるなどして表現する方法があります。どこかで食べたものを自分のキッチンで再現したり、美術館で見たアートを自宅で真似てみたり、好きな音楽を集めてプレイリストを作ったり、詩や俳句を作ったり、ダンスをしたり。
インプットし続けるだけでアウトプットする機会がなければ、その人のバランスが悪くなるような気がします。エネルギーのバランスがおかしなことになるのです。食べ過ぎて消化不良になるようなイメージです。
現代の世の中にはインプットの材料で溢れかえっています。自分で実際に体験しなくても、ネットを通して色々なスキルや情報にアクセスすることができます。でも、スキルや情報にアクセスし過ぎてインプットばかりし続けると、どうしても自分自身が不調になってしまいます。まさかそんなことで不調を体験しているのだとは、ほとんどの人は気づいていないのではないでしょうか。でも、自分のことをよく観察してみてください。入力ばかりして、出力や発信できていない時の自分は、フラストレーションが溜まったような状態になっているのです。アウトプットの機会が与えられずにモヤモヤしています。そのモヤモヤが、予期もしない形でウツや情緒不安定に繋がっていることだってあります。
人の心理や意識の状態については、まだ研究が始まったばかりです。心理学という分野が世に出てから、まだ200年経っていないくらいです。それまでは哲学や生理学の観点から人の性質や習性を捉えるのが一般的でした。それに加えて、私たちの世界はどんどん進化しています。人類史上こんなにインプットの材料で溢れかえった世界に人が住んだことはないわけで、この状態がどんな風に人の意識に影響を与えているかについては、まだ分かっていないことばかりです。それはスマホやSNS中毒とはまた違った分野の話であり、私たちの創造性に関わる大切なことだと感じます。
このポストを読んで、もし自分がアウトプット不足かもと心当たりがある方は、ぜひそのことに意識を注いでいただければと思います。発信して共有するだけがアウトプットではありません。創作することもアウトプットです。人に見せるためでなく、自分のために何かを作ったり工夫したりすることも立派なアウトプットです。自分の中に溜め込んで寝かしているエネルギーを外に出して表現することはアウトプットですから、ぜひそういった活動ができる方法を探ってみてください。
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