意識のチョイスポイント



何となく気分が沈みがちな時、私たちはそのままどんどん気分が下がっていくその流れに乗らない、という選択肢を持っています。選択肢が発生するその瞬間を、心理学的には「チョイスポイント」と呼び、カウンセリングやコーチングでは、本人がそのチョイスポイントに気がつけるようにナビゲートすることがあります。

たとえばこんな日。

朝から何となくストレスを感じることがあって、イライラ・もやもやしている。⇨さらに気持ちが沈むような暗い記事やニュース、TVドラマ・映画・動画などを見て、どんどん波動が下がっていく。身近な誰かと気分が下がるような会話をして、ますますもやっとする。⇨沈んだ気持ちを拭えないまま夜が来て就寝。布団に入ってからもモヤモヤが続き、すぐに眠れない。いろんなことを考え始めて、やがて不安な気持ちになる。⇨自分への批判の声がうるさくなり、落ち込んだ気持ちで眠りにつく。気持ちよく眠れない。

この場合、いくつものチョイスポイントが存在しています。

まず一つ目は、朝からすでにモヤモヤしていたというのに、さらにネガティブな情報(暗いニュースや記事、映像など)を自分に取り込んでしまう瞬間です。そこには、あえてそうしないというチョイスがありました。

そしてその次には、眠る前に気分転換して、暗い気分を引きずらないようにすることができたかもしれない瞬間です。セルフケアをして心を整えてから1日を終えるという選択肢が、そこには存在していました。ゆっくりお風呂に入ったり、メディテーションしたり、ジャーナリングをしたり、良書を読んだり、いい音楽・動画などを見るなどして、意識の切り替えをするチョイスもあったはず。

そして更には、ベッドの中で暗い考えが浮かんできた時に、それにずるずると引きずられてしまいそうになる瞬間です。そこには、「このまま落ちていかないぞ」と、強い意思を持って状況判断をし、「これはいつもの私ではない。ストレスが溜まっているからこう考えてしまうのだ。」と気がつき、自己批判の声に流されないと選択をするチョイスポイントです。

こうしてじっくりと自分の心の流れを観察してみると、「わたしはもしかしたら、心にとって負担になる、ネガティブなチョイスを自ら好んで選んでいるのかも」と、気がつけるようになってきます。不思議なもので、ストレスを感じているときにさらにストレスになるようなことを自然と選ぶのがクセになっているという人も、実は少なくないのです。

中には、ストレス発散のために毒出しし合える仲間に連絡を取ることが習慣になっている人もいます。人であったり会社や組織など、とにかく自分以外の何かについてのジャッジメンタルな意見を親しい誰かと共有して、ああだこうだと言い合ってストレスを発散することが習慣になっているパターンです。

このパターンは一見、ストレス発散の即効薬のようですが、実はそうでもないのです。なぜなら、ジャッジメンタルな意見やコメントすることは、自分の心の中の毒にさらに毒を注いでいるようなものだから。つまり、自分の中に「ジャッジメンタルな意識を育てている行為」なのであり、自分で育てたジャッジメンタルな意識や他人に対する厳しいコメントは、例外なく自分自身へも向けられます。それが厳しい自己批判の声のもとになっているのです。

ストレス発散のために誰かと時間を共有するのであれば、毒を吐き出し合うのではなく、楽しいことを話したり励まし合ったり、または趣味やアクティビティを共有したりするなどして気分転換するというチョイスポイントが存在しています。毒出ししたいのをグッと堪えて違う選択をすることで、大きな意味で気分転換になりますし、あえてストレスなことを話したり考えたりしないことによって、「ものごとを何でも真面目に考えすぎない。人生をシリアスに考えすぎない」という練習にもなります。



チョイスポイントに気づけるようになって、気分の落ち込みにだらだらと引きずられない自分を育てることは、日常の小さな積み重ねからはじまります。かなり地味な作業ではありますが、でもいずれはそれが大きな変化へと繋がり、気がつくと以前のような自分ではなくなっている、ということに気がつけるときがやってきます。

落ち込むことが多いという方は、ぜひ「チョイスポイント」を意識してみてください。そして、自分にとって負担にならないチョイスを少しずつ増やしていきませんか?