心の衣替え *心コラム*



朝晩がすっかり涼しくなってきた今日この頃。日の入りの時間も早くなってきて、冬の訪れが近いことを感じます。

秋冬へと季節が変わっていく時、これまで外へ向かっていた人の意識は、少しずつ内側へと向かうようになってゆきます。衣類の衣替えをして暖かいものを身にまといはじめるように、心も衣替えをして秋冬仕様へと変えてみると、焦りモヤモヤする気持ちが、自然と穏やかになってゆくいい作用があります。

春夏の心、秋冬の心


日本人はもともと、四季の移り変わりを生活に取り入れた習慣を大切にする民族です。旧暦における季節はとても細かく、二十四節期と呼ばれる立春で始まり大寒で締めくくられる暦によって、季節の移ろいを言葉と心で感じることがでます。さらに細かい暦の読み方には七十二候というものがあり、「桃はじめて笑う」「牡丹はなさく」「虹はじめてあらわる」などのように、花や草木、空や水などの自然現象を人間の暮らしに照らせ合わせた言葉で表現する暦が存在しています。昔の人たちは、生活の中に季節感を取り入れた暮らしの楽しみ方や習慣を、おのずと大切にしていたのだとうかがえます。

忙しい現代人であるわたしたちは、ますます便利な世の中を目指し、年間を通して安定した活動量や供給量、高い生産性を求められる傾向がありますので、季節の移ろいとともに「オン」や「オフ」に気持ちを切り替えたり、季節を心で感じて生活する習慣を、逆に贅沢に感じたり、たじろいでしまう傾向があります。

でも、私たちは自然界に生きる生物です。年間を通して「オン」でいることを求められるのは辛いものですし、心の向き方を季節に応じて切り替えていた昔の人の知恵を思い出してみることは、精神を病んでしまったり体を壊してしまうことを避けるための賢い知恵なのではないかと思います。これまでよりも少しだけ、もっと繊細な生き方をしてもいいのではないでしょうか。

たとえば、春夏は生命が育ってゆく時期。太陽の光を浴びて、水分をぐんぐん吸収して植物たちがすくすくと育ってゆくように、人の心も新しいことや刺激を求めて活発に活動することを求める傾向があります。

一方で、秋冬の心は真新しいことを打ち出してゆくよりも、すでにあるアイディアや慣れている環境の中で工夫や改善を見出すことの方が、スムーズに進みやすい傾向があります。

人間関係では新しい出会いを求めるよりも、すでに知り合っている人たちと親交を深めたり、身近な人たちと時間を過ごすことを心地よく感じる傾向があります。慣れないソーシャルな場に参加する場合には、自分の心の負担をできるだけ軽くするような対策を練っておくといいかもしれません。春夏は勢いに任せてある程度ぐんぐん進めたという方も、秋冬には小さなことに躊躇したりと、気弱な自分を感じる場面があるかもしれませんが、それは実は自然なことなのだと理解して、自分に無理を強いないようにしてみます。

また、仕事では、春夏で打ち出してきた新しいプロジェクトの内容を、秋冬にはあらためて見直して改善したり更新したりすることに意識を向ける方が、今から真新しい企画を打ち出すよりも自然に物事が進んでいくようです。春夏の活動期に向けてアイディアを温めたり、すでにあるものを調整したりアップデートしたりすることで、より高い成果を出せる傾向があります。

室内で心地よく過ごす時間が増える時期でもありますので、心の充電が頻繁にできるようになるという、ありがたいことも起きてきます。心の充電ができると、自分の心の声に耳を澄ませて、やってみたいことや新しい趣味などへの興味が高まってきたりもします。

休憩が多く取れると自分のペースを保ちやすくなりますので、心の声に耳を澄ませて、自分らしさを大切にできるようになっていきます。

旅行の仕方やお休みの過ごし方も、見知らぬ土地へ出かけて緊張感を持って忙しく過ごすより、どちらかと言えばすでに行ったことがある場所を再び訪れたり、知っているエリアで新しいことを散策したりというスタイルの方が、心の栄養補給をしやすいようです。

自分で思っているよりも、心は季節の移り変わりに敏感です。季節のエネルギーを感じて、「今この時期だからできること」に意識を向けていくと、焦る気持ちやストレスが軽減されて、自分に優しい時間を過ごせるようになります。

環境を整えて心を整えて

春夏の心から自然と秋冬の心に切り替わってゆく人もいれば、なかには春夏の心のまま、問題なく突き進んでゆくもいるかと思います。スタミナがある人はそれでもきっと大丈夫ですし、秋冬だからと言ってスローダウンする必要性を感じない、という方もいらっしゃるかもしれません。季節を問わずに活動的な人や、または一般的な四季の感覚には影響を受けず、自分のバイオリズムで活動する人もいることでしょう。

でももし、最近なんとなく人と会うのが億劫だと感じていたり、家で過ごす時間が普段以上に幸せだと感じたり、外へと向かってゆく積極性が弱まっているのを感じていらっしゃる方は、四季のサイクルを心身から感じ取っているタイプの人です。季節が変わったことで消極的になったりだるさを感じることは、消して怠け者だからということではありませんし、それで自分を責めたりするようなことがあれば、とても無駄なことです。

心身の声に耳を澄ませて、周りがどうであれ、「自分はいまはこれでいいんだ」という切り替えをしていきましょう。季節に応じた「心の衣替え」の方法として、昔の日本人が暦に基づいて生活環境を整えていたように、自分なりに生活環境を秋冬仕様に切り替えてみます。

たとえば、ヒーターやストーブを設置する時期には、同時にお布団のシーツやカバーをふわふわで暖かいものに変えてみます。クッションやブランケット、テーブルクロスやプレイスマットを温かみのある素材やデザインに取り替えるのもいいでしょう。照明を暖かい色合いのものにしてみます。家の香りを変えてみたり、お茶やコーヒーなどを、秋冬に美味しいフレーバーを買い足してみるのもいいと思います。パントリーには秋冬だからこそ楽しめる食材を増やしたり、パジャマやガウン、ラウンジウェア、スリッパなどを秋冬ものに変えみたり、日当たりの良い場所に心地よい椅子を置いてリーディングヌックを作ったり、ゆったりしたBGMを流すなど、人それぞれに、工夫してできることをいくつかやってみます。

五感で感じる機能がもともと高く備わっている日本人にとって、環境を整えることは心への即効作用があります。目で見て肌で感じて、香って味わって音を愉しんで、心の衣替えを進めてみてください。



#心コラム

 

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