セルフラブについて考える時、私たちは「ありのままの自分の全てを丸ごと愛して大切にすること」だと捉えます。
そして多くの人が、「自分の全てを丸ごと」の意味を、たとえば過去の歴史や、若い頃の自分がやらかしてしまったさまざまな苦い思い出なども含めた自分の全てを丸ごと愛すること、だと考える傾向があります。
そんな風に自分を愛することができたら、どんなに素晴らしいことでしょうか！
たとえば思い出すたびにがっかりする過去の自分の状態であったり、未熟さゆえの愚かな発言や行動、そしてさまざまな失敗。そういった出来事の全ても含めてありのままの自分を丸ごと全て愛することができるのだとしたら・・・。
理論的には理解できるセルフラブですが、実際には神がかり的なハードルの高いコンセプトだと感じます。自分には無理です、という人も少なくないのでは？または、自分の全てを受け入れるだなんて、ただ開き直っているだけな感じがして嘘っぽい、と思う人もいるのではないでしょうか。
中でもとくに、過去の自分について想いを巡らせるときにその難しさを感じます。なぜならそこには、突き詰めていくと「過去の自分を、今の自分と同じ温度で感じることができない」という感覚があるからかもしれません。同じ自分のはずなのに、まるで違う自分のように感じてしまうというという感覚です。
当時の自分の考え方や行動の仕方、ライフスタイルや好きなことまで、今の自分とは似て非なると感じる感覚。たとえば過去の自分がやらかしてしまった出来事を思い出す時、今の自分だったら絶対に回避することができるだろうけど、当時はなんであんな風に考えて行動していたのか、もはや謎だ、と考えたりします。
または逆に、過去のキラキラした思い出が、今の自分からすると別人のように遠く感じることだってあるかもしれません。自分の若さや当時の直向きさが眩しすぎて、今日の自分と同じ人物だなんてもはや信じられない、と感じることだってあるかもしれません。
それは、とても正直な感覚です。
私たちは皆、時間と共に常に変化し続けています。ですから、過去の自分と今日の自分がまるで違う人物のように感じてしまうことは、実は決しておかしなことではありません。歳を重ねるほどに、今とは別バージョンの自分がさまざまな過去に存在していたのだと感じることは、決しておかしなことではありません。35歳の自分と20歳の自分が似て非なる人物であるように感じることもあれば、5歳の頃に体験した出来事が、まるで夢の中での記憶のように感じることもあります。
ですから、もしあなたがセルフラブについて難しいと感じているとしたら、「ありのままのすべての自分を愛する」という定義について少し違う方向から捉えてみることをおすすめします。もっと楽にシンプルに、自分を愛することを考えてみましょう。
ここで提案するセルフラブの捉え方は、ズバリ「今この瞬間の自分を愛する」ということです。今この瞬間、たとえば、今この記事を読んでいる自分を愛すること。この瞬間に存在して呼吸している自分自身を愛することです。今この瞬間、セルフラブについてぼんやりと考えを巡らせようとしている自分を愛すること、です。
過去の自分にまでその愛の範囲を広げる必要はありません。つい昨日の自分にだって範囲を広げる必要はありません。ただ、今この瞬間の自分自身にのみ、できる限りの愛情を注ぎ込みます。それが最もシンプルで取り組みやすいセルフラブです。
いろんなことを経験してきて、今この瞬間の自分が存在しています。過去に起きたさまざまなことをそれなりに受け入れて学んできた自分が、今この瞬間に存在しています。今この瞬間の自分は、自分というエッセンスがもっとも凝縮された自分自身です。今この瞬間の自分自身のエネルギーの中に、過去に存在するすべてのバージョンの自分が含まれている、そう捉えます。
過去まで遡って自分の苦い思い出や受け入れ難い部分を愛そうとするよりも、今この瞬間の自分自身を愛することで、結局はすべての時間軸に存在する自分を愛することにも繋がります。だから理屈なしに、今この瞬間の自分自身をしっかりと愛して大切にしてあげます。それで十分です。
いかがでしょうか？
セルフラブとの向き合い方が少し楽になりませんか？
愛とは、頭で考えるよりももっとずっとシンプルで自然なことなのではと感じます。難しいと感じる時、そこには何か愛以外の何か違うエネルギーが入っている気がします。
今この瞬間の自分を大事にすることは、さまざまな時間軸に存在する違うバージョンの自分へもさざ波のようにして愛が広がると感じます。それは過去だけでなく、未来の自分へもそのさざ波は広がっていきます。
セルフラブにハードルの高さを感じている方がいらしたら、ぜひ今この瞬間の自分自身に愛を注ぐことに取り組んでみてください。
Comments