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お金について考える本


お金やファイナンスについて書かれた本は山ほどありますが、このサイトでは稼ぐためのハウツー本ではなく、お金に対する意識について整理したり考えさせてくれる本をご紹介したいと思います。


「サイコロジーオブマネー」は、ウォール・ストリートジャーナルのファイナンシャルコラムニストを経て、現在はベンチャーキャピタル企業を共同経営している著者モーガン・ハウセル氏が、自身の知見をもとに、お金にまつわる人々の心理と行動についてさまざまな例やデータを交えて書いた本です。どんな姿勢でお金と向き合うのかについてを、著者からコーチングしてもらっているような感覚で読み進めることができます。どのように投資すればいいか、貯蓄すればいいか、お金を使えばいいかということについて述べられているというよりは、そういったことを交えながらお金に対する意識を整理し直すツールを提供してくれている一冊です。地に足のついた、読みやすいお金の哲学書のようなイメージでしょうか。アメリカではベストセラーになっています。


※私は英語版を読んだのですが、調べたら日本語版も出版されていました。ここでは英語版を個人的に翻訳していますので、日本で出版されているものとは表現に多少の違いがあることをご了承ください。


この本には数々の格言がありますが、その中からいくつかをご紹介します。


貯蓄とは、収入とエゴのギャップです。つまり、収入からエゴを引いたものが貯蓄なのです。



したいことを、したいときに好きなだけできることが無限のROIです。



経済的な成功は難しい科学ではありません。知識よりも自分がどう考えて行動するかがより重要なのです。



プランニングすることは重要ですが、すべてのプランについて最も重要なのは、計画は予定通りに進まないということです。


いま自分が持っているものを使って、まだ持っていない必要でないものを得るためのリスクを取る必要はないのです。


歴史が繰り返されるのではなくて、人々が繰り返しているだけなのです。


成長は福利によって促進されますが、それには時間がかかります。


現代の資本主義は二つのことに関してプロだと言えます。一つは富を生み出すこと。もう一つは妬みを生み出すことです。


お金でうまくやることには、頭の良さよりも、その人がどう考えどう行動するのかが関係しています。


富とは、目に見えない部分に存在しているのです。


幸せとは、結果から期待値を差し引いたものです。


現代の世の中においては、インテリジェンスよりも柔軟性の方に確実な利点があります。


富を得ることと、富を維持することは全く別のスキルを要します。


などなど。


世の中のお金の流れには、人々の感情やサバイバル意識、そしてエゴが大きく影響を与えています。また、人が持っているお金に対する意識は、育った環境や時代背景、両親やそのまた両親のお金に関する価値観や生き方などが複雑に絡み合って、その人の考え方に影響しているのだと著者は書いています。以前、アファメーションなどで著名なヘイハウス出版のルイーズ・ヘイさんが、「お金の流れは人が思っている以上にシンプルなのです、と話すと必ずその言葉に強く反応を示して憤慨する人たちがいます。」と話していました。実際のところ、彼女が言うようにお金というシステム自体はシンプルなのですが、人々の心理が絡み合うことで複雑になっているのだと、今回この本を読んで改めて感じました。


著者は、自分とは違うバックグラウンドや価値観を持っているであろう他人の意見に影響されるより、自分自身のスタイルを見極めることが重要なのだと言っていて、他人のゲームではなく自分のゲームをプレイすることにフォーカスするべきだと言っています。また、時間を味方にすることの確実性や、経済的に大成功を収めている人々には運という計算不可能なフォースが働いているという現実、そして長い期間にアップダウンや選択のミスがあるのは当然で、それでも地道な投資を続けていくことで確実に成長させていくことができるのだと話しています。個人的に思うのは、この本に書かれていることはどこかで読んだことがある、すでに知っていることもたくさんあるにも関わらず、それでもぐんぐん引き込まれて読み進めてしまう魅力があるということ。著者のストーリの綴り方のうまさや、きちんと整理された本の構成、そして例としてあげられている人々のお金にまつわるストーリが興味深いからかもしれません。一読の価値ありなのです。


究極の豊かさとは、自分の時間を自由に使えること。

そして、資本主義世の中で最も難しいことの一つである「足ことを知る」の意識を大切にすることで、お金に振り回されない独自の幸せ感を高めていくことができるのだと、あらためて思いました。


自分自身との付き合い方と、お金との関係はかなり似ているものなのではと感じています。




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