辛い時期には *心コラム*



心のケアを専門に仕事をする人が絶対に避けてはならないことに「自分自身の心を見つめる」作業があると言われています。


アメリカの心理関連の修士・博士課程では、心のケアのスペシャリストになる勉強の一環として、自分自身がカウンセリングやセラピーを受けることが必須とされているのですが、私が受けたトランスパーソナル心理学の修士プログラムは、心の「自己探究」が軸となっているプログラムでしたので、在学中はしつこいくらいに自分の心を見つめる作業に取り組むことを課されていました。

卒業式を迎えたときには、「自分と向き合う時間がこんなにたくさん与えられて、なんて貴重な体験だったんだろうね!」なんてクラスメイトたちと涙涙に話していましたが、実際にはプログラムの途中でその作業のしんどさから脱落する人も何名かいましたし、私自身も自分の心の痛みやその原泉、ダークな感情と向き合う作業に辛くなって心理的にヘトヘトになっていた期間もありました。

でも、専門家の教授や先生方の支えもあってそれをなんとか乗り越えた向こうには、自分のことをよく知れたことで他の人の気持ちをもっと深く知ることができるという、自分の幅を広げてくれるような体験が待っていました。修士のプログラム終了後も、心のケアのさまざまなトレーニングを受けていますが、どのプログラムでも「自分を見つめること」が大切なのだと学ばされています。

心のケアの専門家にとって、自分の心をきちんと見つめることは、”Transference”や”Counter Transference”と呼ばれる、クライアントの心の傷や人間関係のパターンが引き金になって、自分が無意識のうちに個人的な反応してしまうことを避けるスキルを身につけるために欠かせない作業です。

また、私の学んだトランスパーソナル心理学は別名スピリチュアル心理学とも言われることもあるのですが、スピリチュアルは地に足のついた形で理解していないと、自分やクライアントにとって都合の良い形でスピリチュアルのコンセプトを利用して、起きていることの神髄を避けてしてしまう傾向があると言われています。この現象は「スピリチュアルバイパス」と呼ばれていますが、スピリチュアルをふわふわしたご都合主義として捉えないためにも、自分をしっかり見つめて、自分自身の「スピリチュアリティ」を形成してゆくことが大切だと言われています。

そして心のケアの専門家は根本的に悲観主義ではなく、最善説を信じていることが重要だと考えられています。最善説とは、この世の中はいろいろな苦悪に溢れているけれども、全体的に見てポジティブな方向に進んでいると信じることができて、我々が生きるに値する体験だと信じられる考え方。それがなければ、心を探求する作業はただただ辛いものになり得ますし、健全なレジリエンスも育ちにくいものです。もし自分がそういう考え方ができなくなる時期が続いていたら、ちょっと休息が必要なのだというサインとして受け取るようにするのも、一つのバロメーターかなと思います。

辛い時期や心の痛みは、ダイアモンドの原石のようなもので、息ができないような苦しさも眠れない夜も、時とともにいずれは過去の体験となります。真っ只中にいるときには終わりが来る日が見えないものですが、やがてちょっと抜けてきたときにその体験をどう見つめるかで、辛さや苦しみを自分の財産に変えることができます。それは心のケアを仕事にしている人でなくても誰にとっても、家族や友人を支えたり助けることに役立ったり、仕事やプライベートなど人生の要所要所で自分を助けてくれる貴重な知恵になります。

いつでも気持ちよくまっすぐに前を向いて進んでいけたらどんなにいいだろうと思いますが、そうじゃない時もあるからこそ、逆に生きる希望とか意味とかを見つけることができたりするんだろうなぁと、あらためて感じる今日この頃です。


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