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年末の焦る気持ちとの付き合い方 



今年も気づけばもうすぐ最後の月。年末が近づいてくると気持ちが焦ります、というご相談をいただくことが多い今日この頃ですが、年の瀬を前に、あれこれ用事に追われて焦っているという場合もあれば、1年が終わろうとしているのに、今年やるべきはずだったことがまだできていないという気持ちで焦っている、ということもあると思います。


焦る気持ちを抱えている時は自分の心が休まらず、いつもなんとなく心がザワザワとしますよね。冬の始まりは季節の変わり目から体調を崩しやすい時期でもありますので、この時期特有の焦る気持ちと上手に付き合って、心と身体の免疫を下げずに、1年を締めくくれるようにしたいもの。そこで、焦る気持ちとの付き合い方について、いくつか思うことを書いてみます。


自分に厳しくなりがちな時期


この時期は、身体と心がスローダウンするので、緩やかなペース・ムードを好む傾向にあります。朝、お布団の中が気持ち良くてシャキッと起きれなかったり、寒さやお天気の関係でアクティブに行動するのが億劫になってきたり。日が落ちるのも早いので、意識も気持ちもなんとなく内側へと向かいやすいものです。⇨季節の変わり目と心の反応については「心の衣替え」というコラムで書いています。


一方で、そんな風にゆっくりムードを好みはじめた自分のことを、どこかで非難している別の自分がいたりします。怠けているのではないか、とか、もっといろいろできるんじゃないか、とか。非難の声が強くなると自分の意識は「できていないこと」にばかり向けますので、あれもこれもできていないし、とさらに焦ってきたり、周りの人たちと比べて自分が劣って見えたりするなどして、ますます気持ちザワザワしてきます。


でも、本当にそうでしょうか。本当に自分はいろいろとできていないことばかりなのでしょうか。毎年クライアントさんと年の終わりに「1年の振り返りワーク」をするのですが、そこで改めて自分の1年を見直してみると、実はいろいろなことをやってきていて、いろいろと起きた中でベストを尽くしてきた自分を発見したりします。


今年はとくに、予想外のことが起きて、誰もが予定通り・望む通りの生活をすることができなかった1年でそした。そんな中、変化に適応したり調整したりしながらなんとかやってきた自分自身のことを、もっと認めてあげてもいいのではないかと思います。


ほんの1時間ほど自分のための時間を作って、自分の行動カレンダーを1月から今日まで、じっくりと振り返ってみましょう。焦る気持ちのときはその1時間さえも作れないと思ってしまうのですが、そこは自分のことをきちんと説得して、自分のための「振り返り」の時間を持ってみてください。



セルフサボタージュ

やるべきことがあるのにやる気が湧いてこない。やらなければいけないと分かっているのに、なぜか取り掛かりが悪い自分。そんな状態のことを「セルフサボタージュ」と呼びます。セルフ(Self = 自分自身)サボタージュ(Savotage=妨害行為)とは、その言葉の通り、自分で自分の妨害をすることです。


たとえば学生時代、志望校まであと少し。最後の追い込みの勉強に取り掛からねばならないと分かってはいるのに、なぜかだらだらと本を読んだりテレビを見たり、または眠たくなって寝てしまう状態を経験したことはありますか?セルフタボタージュとは、嫌いなことをやりたくないから後回しにするというような単純な行為ではなく、「本当はそれがやりたいし、それをやることがいいと分かっているのに、なぜかそれになかなか取りかかれない」状況のことをいいます。


本当はそれやりたいし、それがをやることがいいと分かっているのに、なぜかそれに取りかかれない。または、目標まであと一歩なのに、自分で自分を妨害してしまう。そんな複雑な心境の源泉には、たとえば下記のようなことが理由として挙げられます。



・数々の面倒なことから、自分の身を守りたい無意識レベルでの防御。


・過去に頑張りすぎてバーンアウトした経験があり、そのことを心のどこかでひきづっている場合。


・自分が頑張ったからってどうせうまくいくわけないという、自信のなさや自分のことが信頼できない気持ち



・物事がうまくいくこと(成功や達成の道へ向かっていくこと)への恐れや、目標に向かってがまっすぐ進むことへの抵抗感。


・未知のことに対する不安。


人の心は複雑怪奇。目標に向かって真っ直ぐに進めばいいだけなのになぜかそれが簡単にできないという、単純には理解できない構想があったりするものです。


でも、セルフサボタージュの状況に長い間止まっていると、目標ややりたかったことに対するネガティブな気持ちが芽生えてきて、だんだん自分がどうしたいのか分からなくなってしまう、という負のスパイラルに陥ることもあります。そうなると、ネガティブな感情を振り切るのに余計なエネルギーを消耗してしまうので、自分を責めたりなどして始める前から疲れてしまうことも稀ではありませんし、やがては「もうこれはやりたくない、自分の気持ちが変わったのだ。」と、自分をやらない方向に納得させようとするような現象も、思考の中で起きてきます。


セルフサボタージュが始まったなと思ったら、まずは、「ああ、これはセルフサボタージュかもしれない」と気がつくこと。そして、自分に無理強いするのをやめて、今はやる気が起こらないのだからしょうがないと、自分に小さな休憩を与えてあげることも大切です。不安を感じている自分を責めるのをやめて、その代わりにまずは小さなことでも、できることからとにかく始めてみることもおすすめです。



Todoリスト

Todoリストとは”やることリスト”のことですが、仕事や家事でやることが山積みの時に作成する方も多いかと思います。特に年末は、やることや考えなくてはならないことがたくさんあって覚えきれなかったり時間配分が難しかったりするので、焦る気持ちを整理するためにリストを作成して対応していくのはとてもいいことです。優先順位を上・中に分けてリストを作り、そしてそれに加えて「時間があったらやりたいこと」というのもリストに入れておくと、”Must” だけでなく”Want”の予定も作ることができて、心に栄養を与えながら忙しさを乗り切ることができます。


「セルフサボタージュが起きてるかも」と思われる方も、まずは今の状況でできることのリストを作成して、毎日ほんの一つずつでも何かをやってみると、自分のペースでエンジンをスタートすることができます。とくに、セルフサボタージュの状況から動けなくなりがちな人は、あれもこれもしなければならないと、大きなビジョンを目の前にして固まってしまっている場合もあります。まずはできることから一つづつ、少しづつ取り掛かるようにしてみると、そのうちに調子が上がってくるタイミングがありますので、そのためにもTodoリストを作ってみましょう。できれば細かいリストにして、小さな小さなタスクも加えてみると、そのタスクを終了した時に「ちゃんとできている」という満足感があり、気持ちが進みやすくなります。



私たちは頑張っている


私たちはいつでも、その時の自分の状況下でベストを尽くしています。過去を振り返って、至らなかった部分や、失敗や空回りしていたことなど、恥ずかしいことや「ムダだったのでは」と思えるようなことまで、いろんな苦い経験が浮かんでくることもあるかもしれませんが、それでもその時の自分はそれなりに頑張っていたのであって、まさか未来の自分に否定・批評されることになるなどとは思ってもいなかったことでしょう。


今現在の自分も同じく、未来の自分から否定・批評されるようなことを好んでやっているのではなく、今このタイミングでできることをベストを尽くしてやっているだけなのです。だから、過去の自分を非難するのはやめて、そして今の自分に辛くあたるのもやめます。人にはそれぞれバイオリズムがあり、物事がぐんぐん進んでゆく時と、準備期間の時期がありますので、人と自分を比べて焦る気持ちがあればそれは脇に置いておいて、自分のペースでものごとを進めていくと決めて、自分のバイオリズムに耳を澄ませていきましょう。



焦る気持ちについては、以前もこんな記事を書いています。よかったらご参考ください。


「焦る気持ちとの付き合い方」




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