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バーンアウト




バーンアウト(燃え尽き症・燃え尽き症候群)は、頑張り屋さんの人たちにとって深刻な課題です。お勤めをしていてバーンアウトを一度でも経験したことがある人は体験済みだと思いますが、体調を崩してしまうことはもちろん、心におけるトラウマが残ってしまうことが辛いことです。


自分のエネルギーを搾り出してまで頑張った仕事や組織だったはずなのに、バーンアウトした後は思い出すと気分が悪くなるほどの嫌悪感が残る、ということもあるかと思います。一度はその場所に貢献したい何らかの理由があったからこその頑張りだったわけなのですが、バーンアウトしてしまうと、ときには振り返りたくないほど苦い思いや経験へと変わってしまいます。また、それまで付き合いのあったごく身近な人たちから距離を置いたり、引きこもりがちになったりなどして、心の扉を閉じてしまう場合もあります。


もちろん大抵の場合は、いずれ時間を経てエネルギーが戻ってくると再び社会にカムバックします。しばらくの間は気をつけながら周りと距離をとりながら、という感じで。すぐに自分が没頭できるような仕事や役割を見つけようとはせず、まずは慎重に責任の少ない立場を選ぶことが多いようです。


そうやって心身のリハビリを自分なりにすすめていきながら、「もう2度とあんな風には働きたくない」と心に誓うのですが、でもどういうわけかまたしばらくすると、貢献したいと思える何かを見つけて再び自分をバーンアウトまで追い込んでしてしまうという人も少なくありません。一度バーンアウトを経験した人は、再びその経験をする可能性が高いのが特徴でもあります。



仕事上でのバーンアウトだけでなく、私生活でのバーンアウトというのもあります。たとえば、子育てにおけるバーンアウト、介護におけるバーンアウト、ご近所付き合いやPTAなどでのバーンアウト。こういった私生活でのバーンアウトは、キャリア面で起きるのとは違って認知されにくいものです。周りに気づいてもらえない辛さはもちろん、疲労やイライラを感じている自分の状態に罪悪感を感じることもあり、どんどん症状がひどくなることもあります。ストレスを抱えて暮らした末に体調を崩し、病院で診断される病名がついてはじめて「休憩すること」が必要だと気付かされることになる人もいます。でも不安な反面、内心は「やっと正々堂々と休める理由」ができたことにホッとする気持ちもあるかもしれません。



バーンアウトしやすい人にはさまざまな特徴がありますが、三つの主な理由はこちらです。


1)ワーカホリック

仕事に夢中になりやすい人。仕事で得られる達成感や周りからの評価などに生きがいを感じて仕事に没頭してしまうタイプ。


2)完璧主義者

きちんとしていることを好み、自分が関わること全てをしっかり完成させたいと思うタイプ。周りにそう見られたいという意識と、自分自身に厳しくありたい意識とが混在している。


3)他人を喜ばせたい願望が強い人

上司や同僚に褒められたい、お客さまに喜んでもらいたい、関わる人たちに役に立てる自分でありたいという思いが強いタイプ。周りに頼られすぎてしまうことがある。そうなると、自分のケアを後回しにして周りのために働くため、意識の軸が「自分軸」よりも「他人軸」になりやすい。



これらの三つのタイプに共通しているのは、「セルフケアを怠りがち」になりやすいことです。セルフケアとは、自分の心と体が求めている休憩や癒しを自分で自分に与えてあげることです。どのタイプも、つい自分の役割や責任に夢中になりすぎて、こういった自分のケアを後回しにすることが多くなります。


セルフケアとは、睡眠を多く摂ることやヘルシーな食生活をして運動をすること、マッサージやカイロプラクティックなどのサービスを受けたりといった基本的なことだけでなく、「自分自身は本当はどう在りたいのか」「どんな生活を理想としているのか」といったような心の声を聞き取ったり、心を豊かにするためのスピリチュアル面でのケアなども含まれます。


一度バーンアウトを経験した人が、いずれまたバーンアウトを経験することになりやすいのは、こういったセルフケアを軽視しがちだったり、心の声に耳を澄ます習慣がなかったり、またはそういったことに関する知識不足であったりなどが主な原因です。でもそれは仕方のないことで、私たちの多くは、そういったことについて子供の頃に学んだこともないばかりでなく、どちらかといえば我慢することで何とか切り抜けてきた人(またはそういう大人を見ながら育った)が多いのです。


バーンアウトは現在の世の中の深刻な問題ですので、一度体験した人は同じことを繰り返さないために自分自身との心理的なワークをすることが絶対的におすすめです。でも、人の性格や考え方を変えるのには、それなりの長い時間の投資が必要になります。じっくりとワークをしながら、でもまず最初にできることはやはり「セルフケアへの意識を高めること」かなと思います。自分の性格や考え方を変化させることは簡単ではありませんが、セルフケアの意識を高めることなら「戦略的&計画的」に取り組めるので取りかかりやすいと感じます。


セルフケアは自分自身のメンテナンスであり、これからも走り続けるための自己投資の一環でもあります。社会がもっとセルフケアへの「ゆとり」を意識するようになって、頑張りすぎてしまう日本人である私たちがしっかりと必要なケアを罪悪感なしで自分自身・そしてお互いに施してあげられる世の中になっていくといいなと願います。





*ブログと並行して、ポットキャストを始めました!よかったらお聞きください。


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