心が風邪を引くとき
- Sakura Nimura
- 24 分前
- 読了時間: 5分

やる気が出ないときや、なんとなく気がふさぐとき。誰にでも、そんな周期が訪れます。
頻度は人それぞれで、年に数回そんな状態を体験するという人もいれば、何年かに一度、という人もいます。または、毎月のようにそんな状態になる人もいます。
心は、身体よりも繊細です。
ストレスや疲労にまず最初にダメージを受けるのが心の状態なのですが、でも多くの場合、私たちはその状態を我慢して、次へ次へと進んでいこうとします。
心が受ける疲労は、外からはなかなか見えないものです。ひどく傷ついても、たとえば怪我をした時に血流してその危険を知らせるようなことは、心にはできません。
胸部のあたりにグッと重たいものを感じているのに、でもそれを癒すこともなく、私たちは通常業務を遂行しようとします。そんなことが続いていくうちに、心のスタミナがダウンして、心が風邪を引いてしまうのです。
心の風邪の症状は、「やる気が出ない」という状態から始まることが多いものです。日常のことを後回したり、いろんなことを億劫に感じたりします。
元気な時にはなんでもないことが、なぜかとても面倒くさく感じてしまう。それが心の風邪の初期の症状です。
そして、イライラしたり不安になる、という症状へと続きます。この場合も、元気な時にはさらりと流せるような出来事にモヤッとしたりイライラしたり、または不安になったりして、すでに疲れている心のトーンがさらにネガティブへと傾いていきます。
その状態がさらに進むと、心の風邪を本格的にこじらせてしまう可能性が出てきますので、できればこの初期症状のうちに、回復するための手立てを講じるようにしたいものです。
心の風邪をこじらせないために
心の風邪をこじらせないためには、身体の風邪の初期症状が出た時と同じように、早めの手当をする必要があります。さて、あなたはどんなことをして、身体の風邪の初期症状に対処していますか?
たとえば、長めの睡眠時間を確保したり、ビタミンCをより多く摂取したり、身体を温めたり、栄養ドリンクを飲んだり、初期症状用のお薬や漢方薬などを摂ったり、またはおばあちゃん秘伝の〇〇を作って食べる、などのいろんな対処法があるかと思います。
そういった手当てを、心の風邪にも施してあげられるのならば、どんなことができるでしょうか。
それは、まず「身体を動かすこと」です。
心の疲れや感情的な体験は身体の中に溜まる、言われています。たとえば、何かの出来事をきっかけに感じた胸の辺りに感じる重たさ(感情)がきちんと外へと吐き出されなかった場合、それはもやもやしたエネルギーとして身体の中に蓄積します。
重たさの度合いにもよりますが、もし軽めのものであれば、時間と共に外へと放出されていく可能性があります。楽しいことをしたり、笑ったり、眠ったりなどすることで自然と癒されて、気がついたら元気になっていたりします。
でも、もしそれが重めのものである場合。
重たいエネルギーは、自然に癒されていくのに時間を要するので、その間にさらにもやもやが加算されてしまうこともあります。そして気づいたら、やる気が出ないなどの、心の風邪の症状が出始めます。
ベッセル・ヴァン・デア・コーク医師の著書、「身体はトラウマを記憶する」にも書かれていますが、言葉で処理しきれない体験は、身体の記憶として刻まれて、身体症状として現れると言われています。
心と身体は密接に繋がっていて、身体はいわば、心で受けた目には見えない衝撃(感情)を受け止める有形の存在です。
ですから、身体を動かして感情的なエネルギーを放出することで、自分自身を軽くして癒すことができるのです。
激しい運動である必要はなくて、たとえストレッチやヨガ、呼吸法などでも有効だと言われています。ダンスもとても効果的です。できれば軽く発汗するくらいの運動が、より効果的です。
身体を動かすことで、セラトニン、エンドルフィン、ドーパミン、マイオカインなどのホルモンも分泌されますので、思考をもすっきりさせることができます。そんなふうに、心の風邪の初期症状は、身体を動かすだけでもかなり回復させることができます。
運動する元気すら出ない、という場合には、まず「マッサージを受ける」ことが効果的です。身体の筋肉がほぐれることで、感情的な懲りもほぐれることは珍しくありません。まずはマッサージを受けて、運動ができるレベルの気力まで戻してから運動する、というのもいいかもしれません。
日常的に運動をしている人ほど、心のレジリアンスが高いと言われていますが、これは本当に理にかなったことで、心のストレスを溜めないためには、まず身体を動かすことが非常に効果的です。
身体を動かす以外には?
身体から心をほぐす方法以外にも、「涙を流すこと」という行為を通して、心の疲労を癒すことができます。自分自身を慰めるために泣く、ということでなくても、映画や本、音楽などを通して感動の涙を流す、というだけで効果があります。涙には、ストレスホルモンが含まれていると言われていて、泣くことで身体からストレスを放出することができるのです。
更には、「気持ちを書き出すこと」がとても効果的です。イライラすること、不安に思うこと、モヤッとしていることなどを、思いのままに書き出してみます。感情を書き出すことで、感情という無形の存在に、形を与えることができます。
問題解決の手順は、まず「何が真の課題なのかを定義すること」です。モヤッとしている重たさや、不安な気持ちなどの、はっきりと分からない無形の感情を書き出して形を与えることで、これから自分がどうしたいのかが見えてきて、モヤモヤモードから行動モードへとシフトすることを助けてくれます。
こんな風に、心が風邪の症状を見せ始めたら、早めの処置を施してあげましょう。外には見えない症状だからこそ、自分がそれに気がついたら早め早めの対策を。初期症状は「なんとなく、やる気が出ない」です。
季節の変わり目、皆さまが健やかに過ごされますように。
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