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東京&アメリカ生活を経て、里山の暮らしへ

心のケアについて勉強していると素敵な出会いがあります。世の中にはいろんな生き方をしている人がいて、自分の中の常識を見直すきっかけやインスピレーションをもらえることも少なくありません。このブログでは、自分らしさを追求しながら「心と丁寧に向き合う暮らし」に取り組んでいる方々をインタビューして、ライフスタイルや心のあり方についてお話を聞いてゆきます。

 


第1回目のインタビューは、庄子妙絵さん。東京に生まれ育ち、高校・大学、そして新卒就職後をアメリカで過ごした彼女が、現在の田舎暮らしで得たもの、気づいたものについてお話をうかがっていきます。



まず、出身地と現在のお住まいを教えてください。


生まれも育ちも東京で高校から20代前半までアメリカで過ごしました。現在は結婚して静岡県中部に住んでいます。


これまでにしたことのあるお仕事を教えてください。

大学卒業後にホテル業界で数年、帰国してから30代中頃まで英語を教える仕事をしていました。


心の健康の大切さを意識されたのはいつ頃からですか?

30代の中頃に少しずつ自分の心の変化に気付くようになりました。仕事に対する疑問、「自分は果たしてこの仕事がしたいのだろうか?」が湧いてきたことがきっかけです。それまではあまり心に耳を傾けることをせず、自分は社会にどう役に立つか?自分の技術が発揮出来る場所はどこか?を頭で考えて目の前にあるプロジェクトに集中して取り組む日々。毎日のスケジュールに追われていながらもそれがみんなの普通であるから良しとしていました。でも忙しさに伴って少しずつ心と体のバランスを崩し始め、仕事に対するモチベーションにも影響してきていました。そして、いったんすべてを辞めました。次に何がしたいかも分からない状態でしたが、この状態を続けること自体がムリになってきていたので、辞めることにしました。考えないことが心へのプレッシャーにならない、この何もしない状態がその時は何よりの心のケアだったような気がします。


同じ時期に、林業、山仕事をする夫の強い希望で里山の古民家へ引っ越しました。私の心が更に変化していったきっかけは、里山で暮らし始めた頃からだと思います。里山の暮らしは私のモノの見方、生き方自体を180度変えることとなりました。都会育ちの私はスーパーの野菜の味しか知らず、どこどこの老舗ケーキ、話題のパン屋、最先端トレンドが良しとされるような環境で育ちました。里山の古民家暮らしは、自然と共存する暮らし。野菜を育てるプロのご近所さんたちが、何も知らない私に、土の耕し方、種の蒔き方、育て方を優しく教えてくれました。収穫したものを味噌に、漬け物に、梅干しに、ジャムに加工するやり方を教えてくれました。彼らは山のこと自然のことにとても詳しくて、人間力がありとても魅力的であこがれる自分がいました。そして、私もだんだん野菜が上手く育てられるようになり、ナタが上手に使えるようになって、美味しくて絶妙な梅干しが漬けられるようにもなり、そして竹の子の収穫がスムーズにできるようになったなどのこれまでの自分には想像もできなかった引き出しが、自分の中に増えていくことが快感で楽しくてしょうがなくなりました。



ここで暮らしていると、「次はこれがしたい!」という強い心の声が聞こえてきて、そしていつの間にかその声に動かされている自分がいるのを発見します。そこには迷いなど無く、強い心の声はみなぎる気力と集中力を生むのだと実感しました。里山での暮らしは5年目ですが、この暮らしをしてさらに知ったことは、自然に寄り添う暮らしは、優しいエコな暮らしだということ。種をまき、育て、収穫し、美味しさを感じ、種を取り、またそれを植える。里山の暮らしは循環可能な、サステナブルな暮らし。そして、太陽の暖かさにそよぐ風は、とても気持ちが良く、いつでも私を優しい気持ちにさせてくれます。



この里山の古民家の暮らし方は様々な人を繋げてくれています。ヨガインストラクターの姉とはリトリートを通して、里山のサステナブルな暮らしとお茶どころである静岡のお茶、「ホンモノのお茶」を深く知る体験などの活動をしています。自分の中に身に付いている英語も、これからも幅広く使って行きたいきたいと思っています。アメリカ在住経験から「異文化交流」ということも常に自分の中の大きなテーマです。海外から来るゲストには今の自分の暮らしから伝えられる日本、「日本の里山古民家の暮らし」を紹介しています。現在、自分にはこれ!と言う肩書きはありません。(逆に設けることで狭まってしまうような気がして)、いつでも自分のアンテナが引き寄せる事にワクワクと活動して多方面に広がって行ったらと思っています。




心と身体のバランスと健康を保つために、何か取り組んでいることや意識していることがあれば教えてください。

日常生活を自分のペースで丁寧に暮らしたいと意識しています。以前はスケジュールを詰め込んで、それに追われながら過ごす日々もありました。忙しさに身を任せていると、そこには想いは込められず、一つ一つのしごとが雑になります。でも丁寧な暮らしには、やさしい想いや感謝の気持ちからこもっているので、仕事に自然と丁寧さが生まれると感じます。


自分が育てる野菜、豆の種が発芽しベイビーリーフとなって土から顔を出す時、「なんとも可愛らしい小さなグリーンの葉っぱ!」と、愛おしい想いが生まれます。まだはかない小さな葉を守ってあげるには、ネットをしてあげよう。そんな小さな行為に愛情が込められ、手間ひまをかけたいとしごとの中に丁寧さが生まれるのです。ときには時間がかかったり、汗を沢山かいたりすることもあるけれど、愛しい豆のために私は頑張れる。ワンシーズンかけて育ってくれた豆の収穫の際には、「美味しいよ、ありがとうね!」と感謝の気持ちが生まれます。丁寧に調理してじっくり味わってあげよう。どんな保存食にしようと試行錯誤します。保存食としてジャーに詰めて、ラベルを貼る最後のしごとも丁寧に、と言う気持ちになります。


○○したいと言う想いが丁寧な仕事を生む。丁寧な日常が与えてくれる想いや、感謝の気持ちを感じながらの生活は、心身ともに癒されると感じます。日常体験がかけがえの無いものになってゆきます。でも、そのためには生活にある程度の余裕を持って詰め込みすぎず、自分のペースでしごとが出来るよう自分にとってのほど良い元気でいられるペースを知ると言う事も大事だと感じます。





朝起きてから最初の2時間ですることを教えてください。

季節や天気によって変わりますが、夫を仕事に送り出して朝ごはんを食べ、家の裏の畑や裏山、日本ミツバチの様子を見に行くのがルーティーンです。もともと朝の方が強いので、午前中に集中して家の外と中の作業に取り組み、午後をゆっくりペースでということが多いです。 




オフの日はどんな風に過ごしていますか?

夫婦とも予定の空いている休日は、前日の夜に目覚ましが鳴らないよう設定し、次の日の朝は自然に目覚めるということをしています。自然に目覚める感覚の気持ちのよい事!そして、ゆっくり起きてゆっくり朝ごはんとコーヒーを飲みながら好きに過ごします。一日ゆる〜く過ごす日もあれば、裏山さんぽや畑作業をしたり、ちょっと手間のかかるものを料理しよう、外食しようなんて時もあります。





好きな旅のスタイルと、最近旅した場所を教えてください。

国内でも海外でも旅は大好きです。街でも田舎でもその土地まで行ったら必ず歩いて街ぶら、田舎ぶらをします。ひと、文化、工芸品、食、祭り、温泉、地元の人しか知らないローカルマーケットや食べ物屋さんなどを巡りながら一期一会な街ブラをすると色々なハプニングがありワクワクします。


様々な土地で出会う伝統的なモノや食文化に触れることは自分にとってたまらない体験。職人さんの手しごとで繊細に丁寧に仕上げられた品物は美しく、作り手の想いを感じる。そして、代々受け継がれてきた技は、脈々と古くから伝わっているんだという事に、何とも言えない高揚感がこみ上げるのです。



夫婦で長野の木曽を旅した際、木曽メンパという木の器に出会いました。木曽という地は、美しい木曽川が流れ山に囲まれ古くから林業が盛んな土地、山仕事のメッカでもある場所。たまたま入ったお店は代々、メンパなどの木工工芸品を作り、販売するお店でした。夫が山仕事のお弁当箱にと選んだメンパは、木曽ヒノキが使われた赤い丸いメンパ。さくらの木の皮でとめられていて漆で仕上げられています。職人さんの想いがこもった美しいメンパ、丁寧な手しごとにはあたたかみが感じられ、大切に使わずには居られないのでお弁当を作る方も俄然気合いが入ります。こんな風に出会った品物は大切に使い続けようという想いがのって大切なモノになります。


旅は、非日常の体験、アドベンチャーであり、たくさんの感動やインスピレーション、気付きを自分に与えてくれます。いつも心がトキめいた場所へ心の赴くままに行く、そんな旅をしています。





これから行ってみたい場所がありますか?

国内海外行きたい場所だらけです^^。しまなみ海道をアイランドホッピングしてみたいです。瀬戸内レモンに、伯方島で美味しいお塩を、瀬戸内の村上水軍に思いを馳せ、四国に渡り今治の地でタオル、徳島で阿波踊り、高知で四万十川、そして香川でうどんをすする、、、、のような妄想をしています。


好きな本とその理由を簡単にお聞かせください。

中学生の時、風の谷のナウシカの原作まんがを全巻読み世界感に圧倒されて以来、常に本棚にある私のバイブルです。映画しか見ていない方は、原作オススメです!


日常生活の中で、欠かせない習慣はありますか?

お風呂です。毎日(夏でも)お風呂に浸かる時間はとても私にとって大事な時間。お風呂に入った瞬間「ふぅ〜〜〜」と全身の空気を抜くように脱力した時の体も頭も心もリラックス〜〜できている感覚が大好きです。一日体を沢山使って体がバキバキになってしまったり、寒い日体が芯から冷え冷えになってしまった時は特にゆっくり浸かります。後は、常に睡眠はタップリとります。




オススメの逸品があれば教えてください。

お茶を焙じる茶香炉。私の茶香炉は常滑焼の茶香炉です。茶香炉で焙じられるお茶は、部屋いっぱいを落ち着いた良いお茶の香りで包んでくれる。焙じられるお茶が香ばしい香りでリラックス出来ます。お茶の葉と言う天然なものを焙じることも体に優しいと感じます。緑茶、玉露、烏龍茶など焙じるお茶によって香りの違いも楽しめます。




好きな言葉、大切にしている言葉、心に残っている言葉はなんですか?

やはり、一期一会と言う言葉が響きます。その一瞬、その時は二度と起こらないからこそ大切に想いを込めて過ごしたい。家族や友人とのひと時も同じ経験は2度とすることはなく、無いからこそ大切に過ごしたい。新しい人との出会いにおいては、その出会いから紡がれるその先の新たな素晴らしい出会いや、世界があるのかもしれない。この言葉は、私にいつもそんなメッセージをくれます。



庄子妙絵さん

東京で生まれ育ち、高校・大学をアメリカで過ごす。アメリカのホテル業界に勤務後、日本に帰国して結婚。その後英語教師として語学学校やインターナショナルプリスクールに勤務。ご主人の転職を機に、静岡県に移住。現在はヨガ講師を勤めるお姉さんとともに姉妹で自宅でのヨガリトリートやお茶体験などを主催しながら、地元に密着した里山での生活を営んでいる。



#里山の暮らし

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