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空想は魂の言語:ヒルマン心理学

  • 執筆者の写真: Sakura Nimura
    Sakura Nimura
  • 12 分前
  • 読了時間: 4分

突然ですが、あなたは、空想の世界に浸ることがありますか?

ぼーっと過ごす時間が、好きですか?


このところ、心理学者ジェイムズ・ヒルマンの文献を読むことが多くて、彼の思想や哲学で、とくに「ファンタジー(空想・無意識のイメージ化)」について想いを巡らせています。


ヒルマンの著書はとても読みごたえがあるのですが、でもなんというか、読み進めるのに非常に時間がかかります。読みながら、何かとても素晴らしいものに触れている気がするのですが、理解したことを言葉にするのはなかなか難しいし、説明にも時間がかかる。そういった類のものです。


ヒルマン文献の日本語版では、鏡リュウジさんが翻訳されている「魂のコード:心のとびらを開く」という書籍があります。いやはや、これを翻訳した鏡さんは素晴らしいなと思います。

鏡リュウジさんといえば占星術でよく知られた方ですが、それ以外でも、トランスパーソナルや深層心理学の分野で、深い知見にも富んでいらっしゃる方なのです。


ちなみに、ヒルマンを直接読むのが難儀だという方には、英語版だとThomas Moore博士が、ヒルマン心理学(Archetypical Psychology)をより分かりやすく書いた著書、"A Blue Fire: Selected Writings by James Hillman”がおすすめです。



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では、空想ってどんな意味があるのかを、ジェイムズ・ヒルマンの思想を手がかりにしつつ、あらためて考えてみます。


一般的に「空想」という言葉は、しばしば「現実」と対比されます。空想は現実から目をそらすもの、あるいは現実逃避の一形態として語られることも少なくありませんよね。


でもヒルマンは、空想を現実と対立するものとして捉える、その考え方そのものに疑問を投げかけました。


ヒルマンによれば、人は現実を「ありのまま」に経験しているわけではありません。なぜなら、私たちが生きている現実は、つねに無意識のイメージを通して経験される現実だからです。


つまり、人は見たもの・起きた出来事を、そのまま受け取っているように感じていても、実際には、無意識的にイメージ化された世界を生きています。同じ出来事を体験しても、人によって意味づけや受け取り方が大きく異なるのは、それぞれが独自のイメージのレンズを通して世界を見ているからです。


さらに、ヒルマンは空想やファンタジーとは、現実から切り離された副次的なものではなく、むしろ、空想・ファンタジーこそが意識の基盤であり、現実が「現実として立ち現れる」ための土台と捉えていました。


もっというと、空想やファンタジーは魂の言語・表現方法。

ですから、なんとなく思い描く空想には、魂からのメッセージが込められている。つまり、空想は、意識と無意識がコミュニケーションするための言語、ということになります。


たとえば、人の空想にはその人の生き方の地図にようなものが含まれていることが多くあります。どんなことに惹かれ、何に興味を持ち、どんな風に人生を展開したい願望があるのか。空想にはそういったことが練り込まれ、ちらばめられています。


とくに、daydreamingのような、なんとなくぼーっとしている時に浮かんでくるイメージや、シャワーの時、歩いている時、ふとした瞬間などにやってくる空想には、エゴが関与していないことが多いものです。魂は、エゴが油断している時に現れやすいもの。ですから、一見すると意味がないと思われがちなこういった瞬間に浮かんでくるイメージや空想には、魂の声が含まれていることが多いそうです。


人生を自分らしく生きている人は、空想やふと浮かんでくるイメージが魂の声であり、自分の今世での生き方に関わることだと、なんとなく理解している人が多いようです。こういったイメージや空想がそっくりそのまま現実になるというわけではないかもしれませんが、少し形を変えて現実世界で展開していくようです。


一方で、誰かや何かに強く執着した空想である場合は、ときに空想というより妄想になることもあります。妄想は危険ですが、でもヒルマンは、それを単に心のバランスが崩れている状態として切り捨てるのではなく、魂が一つのイメージに強く囚われているサインとして捉えるべきだと言っています。そのイメージの背後に、どのような願望や呼びかけが抑圧されてきたのかを探ることで、魂との対話を回復する手がかりになるとヒルマンは考えます。


そんな風に、空想は、その人の魂の声とつながる入り口のようなものです。

そして、ときには、日々の生活の中で崩れがちな心の感覚を、そっと取り戻す手掛かりになることもあります。軽視されがちな空想ですが、実はとても大切な心の営みなのです。


いかがでしょうか?


ぜひこれから、ふとした時間に浮かんでくるイメージや、daydreamingでのたわいもない空想を無駄だと考えずに、大切に扱ってみてくださいね。


 
 
 

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