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空想は魂の言語

  • 2月9日
  • 読了時間: 4分

更新日:3月12日


突然ですが、あなたは、空想の世界に浸ることがありますか?

ぼーっと過ごす時間が、好きですか?


最近、心理学者ジェイムズ・ヒルマンの文献を読むことが多いです。ユング派の中では特に知られた方で、ユングの思想をさらに発展させてきた著名な心理学者の一人です。


彼の思想を読んでいると、空想にどんな意味があるのかを再定義したくなります。なぜなら、ヒルマンは、空想を「魂の言語」だと解釈しているから。


一般的に、空想という言葉は、現実という言葉との対比として使われることが多いです。空想は現実から目をそらすもの、あるいは現実逃避の一形態として語られることもあります。


でもヒルマンは、空想を現実と対立するものとして捉える、その考え方そのものに疑問を投げかけました。


ヒルマンによれば、人はもともと、現実を「ありのまま」に経験しているわけではありません。なぜなら、私たちが生きている現実は、つねに無意識のイメージを通して経験される現実だからです。


同じ出来事を体験しても、人によって意味づけや受け取り方が大きく異なるのは、それぞれが独自のイメージのレンズを通して世界を見ているから。つまり、人は見たもの・起きた出来事を、そのまま受け取っているように感じていても、実際には、無意識的にイメージ化された世界を生きているということです。


さらにヒルマンは、空想やファンタジーは、現実から切り離された副次的なものではなく、むしろ、空想・ファンタジーこそが意識の基盤であると捉えていました。イメージは単なる心の中の絵ではなく、私たちが世界を体験するための「生の素材」なのだと。


たとえば、人の空想にはその人の生き方の地図にようなものが含まれていることが多くあります。その人がどんなことに惹かれ、何に興味を持ち、どんな風に人生を展開したい願望があるのか。個人の空想にはそういったことが練り込まれ、ちらばめられているそうです。


Daydreamingのような、なんとなくぼーっとしている時に浮かんでくるイメージや、シャワーの時、歩いている時、ふとした瞬間などにやってくる空想には、エゴが関与していないことが多いものです。魂は、エゴが油断している時に現れやすいもの。ですから、一見すると意味がないと思われがちなこういった瞬間に浮かんでくるイメージや空想には、エゴを超えた魂の声が含まれていることが多いのかもしれません。


ヒルマン心理学では、こういったイメージや空想がそっくりそのまま現実になることに意識を注ぐよりも、その奥に潜む魂の声を観察することを推奨しています。細かくイメージや空想の内容を分析するよりも、浮かんできたことにただシンプルに寄り添ってみること。


なぜなら、空想はその人が自身の魂の声とつながる入り口のようなものだからです。ときには、日々の生活の中でないがしろにしがちな心の感覚を、そっと取り戻す手掛かりになることもあります。


つまり、空想とは実はとても大切な心の営みなのです。


そして、ヒルマン心理学は、私たちに人間の複雑さに寄り添うことの大切さを教えてくれます。何でもすぐに分析して、因果関係を知りたがる私たちですが、人はシンプルな論理で割り切れるようにはできていないということを、潜在意識からやってくるイメージや空想は教えてくれているのではないでしょうか。


心のケアに携わるお仕事をしていると、ネガティブな症状や悩みを解決することがゴールだと捉えてしまいます。でも、ヒルマンやユングの思想はそういった症状や悩みを「魂のプロセス」と捉えます。人生のさまざまな体験を”Soul Making(魂を作る)"という言葉で表現することで、人生の体験を魂の視点から材料として捉えることを推奨しています。


ぼーっとしている時、空想に耽っている時。

気がつくとあっという間に時間が過ぎていて、「時間を無駄にした!」と考えてしまうクセがある方。


実はあなたの過ごしているそんな時間は、意識と無意識を繋ぐ大切な時間であり、魂が私たちに栄養を与えてくる、時空を超えた貴重な儀式なのかもしれません。


そして時には折れてしまう心も、それが人生体験の中での魂の営みの一つであると理解してみるのも、深くて新しい視点ではと思います。




 
 

 

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Hypnotic Lifeでは「ココロとの丁寧な付き合い方」を考える心のケアにフォーカスしたコラムを綴っています。読み手の方に癒しやインスピレーションのカケラを提供できるよう心を込めて取り組んでいます。

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